プレスリリース

十勝毎日新聞WEEKLY NEWS 掲載 7月23日(水)

道産石炭で排水浄化

帯畜大連携

農業施設専門メーカーのアクト(帯広市西21南4、内海洋社長)は帯広畜産大などと連携し、低品位の道産石炭を活用したパーラー排水浄化システムの開発に今年度から取り組む。生乳も処理できるのが特徴で、微生物を活用した低コストの装置を実用化し、酪農業の環境汚染改善を目指す。

搾乳場汚水、生乳も処理 酪農家の環境向上を

 経済産業省の地域資源活用型研究開発事業に採択された。産業技術総合研究所北海道センター(札幌)とKCMエンジニアリング(釧路)も参加する。23日午前10時半から同大で記者会見を開き、内海社長らが発表した。期間は2カ年で、予算は計4900万円。

 パーラー排水は搾乳場から出る汚水で、牛乳やふん尿、殺菌剤などが混入しているため浄化処理が必要。しかし、既存製品はコストが高い上、生乳の処理が困難などの課題があるため普及せず、現状の排水対策は不十分という。

 計画では、釧路産石炭のうち熱量2000キロカロリー以下の低品質の石炭を酸処理して活性化石炭に加工。活性化石炭に環境負荷に強い微生物を定着させ、汚水を浄化する。たんぱく質を含むため浄化が難しい乳脂肪は、活性化石炭をセラミック処理した素材で細かく砕く。

 廃棄乳の混入率20%程度の汚れでも浄化できる能力を持たせ、同大に実験浄化槽を設置して冬期間も安定稼働できるシステムを検討する。中小規模の酪農家にも普及するよう、維持管理費低減や浄化槽管理の省力化も図る。

 内海社長は「北海道の技術と材料で全国の水を浄化したい」、同大畜産フィールド科学センターの本江昭夫センター長は「地域連携の一環として、大学の人材やノウハウを提供したい」と話していた。

 (池谷智仁)